「査定を頼んだら、そのまま売る話になってしまうのではないか」。不動産会社への連絡をためらう理由として、よく聞かれる心配です。
査定は、その不動産がいまどのくらいの価格で取引されそうかという見立てを出すものです。買主探しを不動産会社に任せる「売却の依頼」は、査定とは別に「媒介契約(ばいかいけいやく)」という契約を結んで行います。査定を頼んだことだけで、売却の依頼まで済んだことにはなりません。
この記事では、「相談」「査定」「売却の依頼」の違いを整理したうえで、査定のときに聞かれること、先に伝えておきたい希望、査定のあとにどう判断していくかを順にご説明します。
「相談」「査定」「売却の依頼」は、それぞれ別のものです
不動産会社とのやり取りは、ひとまとめに「売却の話」と受け取られがちです。実際には、次のように分かれています。
- 相談……状況をお聞きし、何を確認すればよいか、どんな進め方がありそうかを整理する
- 査定……その不動産がいまどのくらいの価格で取引されそうか、という見立てを出す
- 売却の依頼……買主を探して売ることを、媒介契約を結んで不動産会社に任せる
相談と査定は、売るかどうかを決めるための材料をそろえる段階です。売ると決めてから、売却の依頼に進みます。
査定は「いくらで売れそうか」の見立てです
査定で分かるのは、現時点での価格の目安です。その金額で売れることを保証するものではありません。実際の売却価格は、買主が見つかったときの条件や、そのときの市場の状況によって変わります。
査定額を受け取ったら、金額そのものだけでなく「なぜその金額になったのか」の説明を聞いてください。周辺でどのような取引があったか、建物や土地の状態をどう見たかによって、金額の意味が変わるためです。当社では、数字だけをお出しするのではなく、その金額をどう考えたのかを併せてご説明しています。
なお、売却の依頼(媒介契約)の際に、不動産会社が売り出す価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと、宅地建物取引業法で定められています。
売却の依頼は「媒介契約」で行います
媒介契約は、買主探しを不動産会社に任せるための契約です。不動産会社は、媒介契約を結んだときは、売り出す価格、契約の有効期間や解除に関すること、報酬(仲介手数料)に関することなどを記載した書面を作成し、依頼者に渡すことが法律で定められています。
媒介契約には、他の不動産会社にも重ねて依頼できるかどうかなどが異なる、いくつかの種類があります。どの種類にするかは、売ると決めてから考えれば間に合います。当社では、契約の種類によって進め方が変わるため、内容をご説明したうえでお選びいただいています。
査定の申込みと売却の依頼は、別の手続きです。署名や押印を求められた書類があれば、それが何の書類なのかを確かめてから進めると安心です。
査定のときに聞かれること
査定では、次のような点を確認します。最初からすべてそろえていただく必要はありません。
- 所在地
- 土地の面積と形状、建物の面積
- 築年数と建物の状態(傷み、雨漏りの跡、水回りなど)
- 前面道路の幅や接道の状況
- 権利関係(登記上の名義、共有になっていないかなど)
- 売るとした場合の条件(希望の時期、引渡しの形など)
分からない項目は「分からない」とお伝えいただければ十分です。登記の内容など、あとから調べられるものもあります。名義・住宅ローンの残高・引き渡したい時期は、家を売る前に、手元で確認できる3つのことの方法で先に確認しておくと、査定のときの話が具体的になります。
査定の前に伝えておきたい希望
査定を頼むときに、次のようなことを先に伝えておくと、査定後の説明がご自身の状況に合ったものになります。
- まだ売るか決めていないこと……「金額を見てから考えたい」「家族で相談する材料がほしい」といった段階であれば、そのままお伝えください。
- 時期の希望があるかどうか……いつまでに引き渡したいという時期があるか、特に期限はないのか。
- 価格と時期の、どちらを優先したいか……早く決めたいのか、時間がかかっても条件を優先したいのかで、考え方が変わります。
- 他に関わる人がいるか……共有名義の方や、話し合いが必要なご家族がいるかどうか。
希望する売却時期や引渡し条件によって、価格の見立てや販売方法が変わることもあります。査定額だけでなく、ご自身の希望に合う進め方を考えるために、分かっていることからお伝えください。
査定のあとは、こう判断していきます
査定結果を受け取ったら、次の順で考えていきます。
- 根拠の説明を確認する……周辺の取引の状況や建物の状態が、金額にどう反映されているかを聞きます。
- 手元に残る金額を見積もる……実際に売れた金額から、仲介手数料などの売却費用を差し引いて考えます。住宅ローンが残っている場合は、その返済も必要です。税金がかかるかどうかも含め、おおよその手取り額を確認します。考え方は家を売る費用|手元にいくら残るにまとめています。
- 方向を選ぶ……売却に向けて進める、買取という方法も比べる、家族と相談してあらためて考える、今回は売らずに持ち続ける、のいずれかを選びます。
当社では、査定のあとに売却をお決めいただく必要はありません。売ると決めた場合に、媒介契約のご説明に進みます。買主を探して売る方法と、不動産会社が直接買い取る方法のどちらが合うかは、売却か買取か迷っている方へで考え方を整理しています。
よくあるご質問
査定額がいちばん高い会社に頼むのがよいですか?
金額だけで決めるのはおすすめしません。査定額は見立てであり、その金額で売れることを保証するものではないためです。どういう根拠でその金額になったのか、説明に納得できるかどうかも比べてください。
査定を受けたあと、売らないことにしてもよいですか?
当社では構いません。査定を受けたあとで「今回は売らない」という結論になっても差し支えありません。
媒介契約の種類は、査定の前に決めておく必要がありますか?
必要ありません。査定の段階では、売るかどうか自体が決まっていなくて構いません。契約の種類は、売ると決めてから、内容の説明を受けて選べば間に合います。
まとめ|査定は、売るかどうかを決めるための材料です
査定は、いまどのくらいの価格で売れそうかという見立てを出すものです。買主探しを任せる売却の依頼は、査定とは別に媒介契約を結んで行います。
査定額を受け取ったら、金額の根拠と、手元に残るおおよその金額を確かめてから、売るかどうかを決めていただければ十分です。
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